ブルーは、毎日ピンクを呼びに訪ねてきました。何度も呼ぶブルーの声で辺りがいっぱいになったある日、ピンクは自分でトゲを折ろうと決心します。そして一本ずつ自分のトゲを折り始めました。全部のトゲを折るには長い時間がかかりました。ピンクは恐る恐る鏡をのぞき込みます。

「少しボコボコだけど、これでブルーを傷つけることはないよね……」

ピンクは久しぶりに外へ出て、ブルーに会いに行きます。ブルーは、ボコボコの丸になったピンクを見ると言いました。

「君のありのままの顔が、よく見える!」

ブルーは、大切で可愛らしいものを見るような目をしていました。それから、二人は暖かな野原で一緒に転がって夢中で遊びました。

「あー楽しかったね。喉が渇いたから川へ行こう!」

川へ着いた二人は、水面に映る自分達を見て驚きます。

「色違いのそっくりなまん丸になってる!!」

ピンクは、確かめるように自分の体に触れてみます。柔らかで心地良いまん丸……そう、生まれた時と同じ自分に触れたのです。暖かな野原で夢中になって遊んだ時、ボコボコのピンクの体を草木が優しく削ってくれていたのです。

二人は、生まれた時と同じまん丸の姿で微笑み合うことができました。ありのままの命そのものの出会いです。そんな出会いは、どこかで泣いているトゲの出た赤ちゃんや、トゲトゲになってしまった子を救う力になるかも知れません。

お互いに優しく暖かく寄り添えたなら、トゲトゲのピンクのように自分でトゲを折ることなく、ありのままを強い力に変えることもできるでしょう。

トゲトゲでもまん丸でも、どんな姿でも寄り添い合える世界を創ってゆくこともできるでしょう。

二人がそうできたように!