「違いますよ。よく働くとか、そんなことじゃなくて……。フルーツをむく時のナイフの使い方が、上手過ぎるんです。」
「へ? どういうこと? それは逆にありがたいことじゃないの?」
「まぁお店としては。だけど、何かおかしいと思いませんか?」
「えっ……? 俺は別に何も感じないよ。」
「だって真っ赤な口紅に、隠しているみたいですけど、あの人の爪……。とても長くてとがってるんですよ。」
「飲食店だからな……。それは注意しておくよ。」
「それと……。」
「それと……?」
「あの人、前にどこかで会った気がするんですよね……。」

そんなある日、この国の王の遣いが二人の元へやって来た。どうやらこのスライムカフェに、早速王様が大変な興味を示したらしい。王の遣いから、城に来るようにと二人は告げられた。

(王様がスライムカフェに興味を?)

タクは何故、王様ともあろう者がスライムカフェに興味を持ったのか不思議に思った。だが、ミコトは無邪気にはしゃいでいる。城に行けるのが嬉しくてたまらないようだ。

「まぁ、行ってみるか。」

タクがミコトにそう言うと、ミコトは飛び跳ねて喜んでいた。