健康増進センターの発展に寄与してくださった人たち

沖縄県下で唯一、国土交通省の認可を受けている医療施設は当沖縄セントラル病院のみであり、また、特殊航空身体検査指定医は県内に私と副院長の長嶋医師のみです。

航空身体検査事務担当も有資格者で、定期的に羽田空港で医師とともに研修を受け、航空法の改訂などを熟知した上で数多くの書類作成に余念がない井手さんには、ただただ感謝の念でいっぱいです。彼女は、病院創立以来、看護業務をはじめパイロットの特殊航空身体検査に従事し、病院の充実と発展に寄与してくれました。

彼女と後述の福丸さんは、共に、敗戦で焦土と化した沖縄の住民のために、いささかでも役に立てればという真摯(しんし)な気持ちで来沖したもので、当初は二年くらいの予定でいらしたものでしたが、当院の開業が遅れたため、他の病・医院で各々勤めているうちに、二年間があっという間に経過してしまいました。

予定通り帰郷するはずでしたが、何のためにはるばる沖縄まで来たのかと、私とともに県民のために役に立ちたいと強い信念のもと、いましばらく頑張りますという決意を示してくれました。

“沖縄中央脳神経外科”を、やっとの思いで那覇市内与儀の地で開設したものの、連日数百人の外来患者さんに加えて、手術や糸満界隈まで往診を求められる有り様で、終日ろくに昼食にもありつけない多忙な日々が続き、あっという間に数年が経過してしまいました。

かように、多忙な院長を残して帰郷するわけにはいかないと、二人とも覚悟を決めているようで、宮崎と大分のご両親にお手紙をしたため、さらにご自宅まで訪ね“お嬢様を責任を持って生涯生活に困らないように面倒をみてまいります”旨のことをお願い申し上げ、了解を得ることができました。

かように、病院創立以来、苦楽を共にし、県民の健康増進、さらにはゼロからスタートした病院の発展のために、すべてのエネルギーを注ぎ込んできてくださったことに万感の謝意を表する術さえありません。多謝!!

日頃から精神的なストレスの多い航空パイロットで、時に、諸々の心因的な反応を示し、国土交通省審査会から精神科的検査、心理テストなどを要する事例があります。

その際には、琉球大学名誉教授(精神科)の石津宏教授、並びに名嘉幸一元教授のご指導をいただき、他方、循環器系などで精密検査を要する事例については、同じく琉球大学元教授の鈴木信先生に大変お世話になり感謝いたしております。

一方、創立以来、病院の総務畑の管理に合わせて会計業務にも精魂を込めて、苦労を共にしてくれた福丸さんにも心から感謝の意を表します。

さらに、諸々の生化学検査、脳波検査や循環器系の検査で、指導的立場を発揮してくださった我謝部長や新里主任、また、放射線科でMRI、MRA、CTスキャンをはじめとする検査や、当県唯一のガンマナイフ治療のために心血を注いで夜遅くまで協力してくださった、島袋技師をはじめ看護師の皆さんの協力によって、当院の健康管理センターは着実に育まれ今日に至りました。

最後に、病院創立過渡期に二十数年にわたり、事務長職として宮崎県からはるばるご赴任いただき、病院の礎(いしずえ)づくりと発展のためにご尽力いただいた新垣さんに、改めて心からの謝意を表します。

 新垣さん(中央)と、フィリピン領事(左端)とご主人(右端)

10 メディカル・フィットネスセンター

「フローゲン」(不老源)の開設

健康管理センターにおいては、俗にいわれている人間ドックで、糖尿病、高血圧、心臓血管系をはじめ、呼吸器系、肝臓、胃・十二指腸や婦人科、泌尿器科、特に、前立腺などの検診、さらに脳ドックでは脳腫瘍、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血、脳血管奇形などを中心に頭頸部の病気をMRI、MRA、CTスキャン、脳波計、超音波検査等最新鋭の機器を駆使して検査しています。

一方、特殊健康診断では、潜水病や潜函病に対する高気圧健診や、他の健診施設では行われていない、国土交通省認定のパイロットに特化した特殊健康診断、さらに、健保組合指定による特定検診、並びに厚生労働省より実施が義務づけられた内臓脂肪肥満に着目した健康診査を実施し、生活習慣病の予防に努めています。

前記の各種健康診断の結果、将来の健康長寿を目指した予防医学のために、他の医療機関をはじめ、県内でまだ健康増進のための医学的に検証された運動施設がない時代に、当院内にメタボリックシンドロームを改善し、将来にわたって健康を維持し、長寿を目指す施設として「フローゲン」(不老源)を開設しました。

三十数種の運動機器を導入して、専門の運動指導士や栄養士による健康管理を十分に行い、多くの成果を挙げることを目指しています。さらに今後は、地域の三世代の人々、(小中高校生、青壮年期、高齢者)を積極的に迎え入れて、沖縄県の健康長寿再生に努めていこうと決意を新たにしています。

※本記事は、2019年12月刊行の書籍『 ひたすら病める人びとのために 上巻』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。