たとえ病気や障害があっても、毎日充実した晩年を過ごせるよう、長い人生経験を生かして、住宅や地域社会でその人なりの「役割」を何か持つことが必要です。』(注2)

入居者が新たな生きがい「役割」に出会えるような住宅を作るにはどうしたらいいのでしょうか?

せっかく引っ越した住処が高齢者の活力を保ったままでいるようにするにはデンマークで提唱された高齢者福祉の3原則を実現できることを目標にしました。

『高齢者福祉の3原則
1.生活継続性の原則
2.自己決定の原則
3.残存能力活用の原則』(注3)

『高齢者福祉の3原則を支える高齢者住環境に求められる条件。
(ア)最後まで住み続けられること。
(イ)家族と社会から断絶しないこと。
(ウ)心身機能低下への配慮』(注4)

「生活継続性の原則」からすれば、高齢者になってからの住み替えはまさに大問題です。それまでの慣れ親しんでいた家から大きな断絶が生じるのですから。

※本記事は、2021年1月刊行の書籍『安らぎのある終の住処づくりをめざして』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。