複数の療育担当者がいると混乱するので、私のクリニックではスタッフの名札にひらがなでふりがなを入れることで、安心して間違えず、スムーズに担当者がわかるよう工夫しています。また、ドアが閉まっていてもトイレや診察室のドアを勝手に開けようとするので、ドアに「ノックして入る絵」を貼ったところ、お子さんだけでなく、親御さんもノックをするようになりました。言葉でなく絵でどうするか示すことでマナーを身につけさせることが可能になったのです。

[図]視覚的物理的構造化と呼ばれる手法です。外国の方にも伝わるような、わかりやすい絵を用いることで、言葉で伝えなくてもマナーを教えることができます。

公園の遊具など順番を待って並んでいる時でも、「順番を守らなきゃダメよ」と注意するのではなく、「この青い服を着た子の後ろに並んで、青い服の子が終わったら乗っていいよ」と伝えると、上手に待って並ぶことができます。言葉だけではわかりづらくても、視覚的認知の良さを利用すれば良いのです。

しかし、この場合、もし青い服のお子さんが途中でいなくなると、どうしていいかわからなくなりパニックになってしまいます。このような時は、「青い服の子がいないので、今度はこの白い服の子の後ろにしようね」と言って一緒に並んであげるなど、新たな提案をしてフォローするようにしましょう。

※本記事は、2018年10月刊行の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。