-------反抗期-------

盛り上がってちょっと遅くなったら、珍しく母がもう帰って夕飯の用意をしていた。

「三緒は?」

「いるよ。部屋」

いつもならリビングで思いっきりくつろいでテレビ見つつゲームタイムなのに。

「今日少し戻りが遅かったから、誰と会ってたか訊いたのね、そしたら、なんでそんなの言わなきゃいけないの?!て、キレちゃってさー」

「おやおや。最近キレる頻度上がってね? アナタ限定で(笑)」

そういえば俺、母親にも「お母さん」言ってないわ。ちなみに三緒は、「ママ」だ。

「やっぱりそう思う? もう何十回目の反抗期なんだか。ちっちゃい頃は、もう、ウザいなぁ~てくらいつきまとってくれたのに」

「今じゃアナタがウザい方(笑)」

ブッとお茶吹きそうになってなんとかこらえた母。肩がまだ揺れてる。

「あんまりしつこくしない方がいいよ。ふ~んて、放牧してると、向こうからくる」

「今日なんか全然しつこくしてないけど?」

「顔がしつこかったのかも(笑)」

「なにそれ(笑)。よくわかってるね~、お兄ちゃん。そうね、三緒の順列は、兄→父→母だもんねぇ」

「人をボス犬みたく言うなよ(笑)。女って女に厳しいもんだろう? アナタの姉妹もわりと言いたいこと言うもんね」

「まぁ奴らは…口悪いから(笑)。そういえばユウキは反抗期らしい反抗期なかったね」

「そうだっけ?」

「夜泣きもそんなにしなかったし、なんでも食べてくれるし、保育園も最初はギャンギャン泣いたけど、わりとすぐ馴染んだもんね。熱を出すのも週末で…月曜には元気になるという、なんて育てやすいんだろう…子育て楽勝!なんていい気になってたら…」

「すごいのが出てきた(笑)」

「順番逆だったらヤバかったね」

「俺のありがたみがわかったろ? あがめ奉れ~こうべを垂れよ~」

「はいはい(笑)。ん、でも一回だけ、いじけて押入れに籠ったことあったね。赤ちゃん返り的な」

「は?」

「ボクは古いせんぷうき、しんがたがきたから、ボクはもういらない…。ってポエム書いて(笑)」

「覚えてねーよ」

うわっ、ハズ。やなこと蒸し返すなよ。話題を変えよう!