本番で私は、一生懸命に歌う一人ひとりの子どもたちの顔を順番に見ていきます。真剣に練習をしていた日々や、一人ひとりの挑戦のドラマが思い出され、涙が自然と出てきます(やっぱり文化の力はすごい)。

結果発表の後は、結果にかかわらず、多くの子が嬉しさと達成感から涙を流し、お互いに抱き合って感謝を伝え合うことが多いです。あの空間は、本当に美しい。

きっと子どもの胸にも一生刻み込まれていると思っています。今でも私は、全てのクラスで歌った歌を鮮明に覚えていますし、楽譜は宝物として保存してあります。

このような考えは体育祭などにも応用できます。行事の主役はもちろん子どもです。子どもの輝きが全てです。子どもを輝かせるために、子どもを傍観者にしていてはいけません。

歌を聞くだけの喜びは一瞬です。受け身です。歌わされるなんて最悪です。自分が歌うために準備し、舞台に上がり、喝さいをあびたときの喜びは、格別です。

行事では恥を恐れず、傍観者の枠から飛び出ることが大切です。夢中になって取り組むところに幸せがあります。私も今までたくさんの子どもたちを文化祭の有志が出場する舞台におくりだしてきました。コントやダンスを一生懸命に披露する子どもたちの姿は本当に輝いていました。

あなたは、行事の中でどのように子どもを活躍させ、伸ばしたいと思っていますか。そのためにどんな手立てをうっていますか。

 
※本記事は、2020年10月刊行の書籍『教師は学校をあきらめない! 子どもたちを幸せにする教育哲学』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。