生まれたばかりの頃は、リッチで子煩悩な父と穏やかで優しい母がいつもそばにいて、物心両面でとても満ち足りた日々を送ることができた。父は毎晩お風呂に一緒に楽しく入ってくれたし、どんな遊びにもイヤな顔一つ見せずに付き合ってくれた。

兄弟などいなくても特段寂しいと思ったことはない。休日には、親子三人で東京近辺の遊園地のみならず、はるか大阪や九州のテーマパークにまで何度も遊びに行ったものだった。

幼稚園に行き始めると我が家は友達の間で人気スポットと化し、何人ものクラスメイトが連日のように押しかけてきた。十畳はある床暖房まで完備された私の部屋には、遊ぶためのツールがなんでも揃っていたからだ。

液晶テレビに繋いだファミコンで様々な対戦型ゲームが楽しめるし、勉強机の上のノートパソコンにはフィルタリングが掛けられていないため、親の目を気にせずにネット検索をして様々な好奇心を満たすことができる……幼い友人たちの目には、まるで子供の天国のようなところに映ったのだろう。

「オレ、哲也のウチの子になりたい!」と男子が言えば、何人かの女子からは、「私、哲也くんのお嫁さんがイイ」と告白されたことが懐かしく思い出される。

にわかに雲行きが怪しくなったのは、私が私立K大学の付属小学校に入学する一、二年前からである。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『 守護霊塾』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。