多くないのですが、多発性硬化症によって認知症になることもあります。そのようなことのないように、正しい多発性硬化症の診断を受け、適切な治療をしてもらうようにしましょう。また、コーヒー1日4杯(以上)で多発性硬化症の発症の予防効果(カフェインの有効性)があることも発表されています。

多発性硬化症のMRI 大脳白質、脳梁、視神経、脳幹、小脳、脊髄に好発し、側脳室に対して垂直方向の 卵円形病変(ovoid lesion、Dauson’s finger)(矢印)が特徴的である

 ◎甲状腺機能低下症とは?

甲状腺ホルモンが不足する甲状腺機能低下症(慢性甲状腺炎/橋本病、甲状腺術後など)の症状として、体の活動力が低下し、体重増加、顔貌の変化(腫れぼったい)、眼瞼浮腫、皮膚の乾燥やむくみ、寒がり・皮膚温低下、意欲の低下、記憶力低下、易疲労感、嗄声、言葉のもつれ、動作緩慢、便秘、眠気/居眠り、月経異常、頭髪変化/薄くなる、眉毛外側の脱毛、アキレス腱反射の遅延などがみられます。

記憶力低下に関連した症状が認知症と診断されやすいのですが、治療可能な仮性認知症(pseudodementia、treatabledementia)の1つです。新陳代謝を高める作用のある血中の甲状腺ホルモン(甲状腺刺激ホルモン:TSH、遊離トリヨードサイロニン:F-T3、遊離サイロキシン:F-T4)値を測定することが診断の糸口になります。

これら甲状腺ホルモンの基準値(正常値)は、TSH:0.48~4.82μIU/ml、F-T3:2.3~4.7pg/ml、F-T4:1.1~1.9ng/mlです。原因の検索と治療を開始することにより、認知症の改善がみられます。

また、認知症の人に、甲状腺ホルモンの減少がみられた場合には、認知症の薬に加えて甲状腺ホルモン補充療法を併用することにより、認知症の改善が期待できることもあります。

※本書で紹介している治療法等は、著者が臨床例をもとに執筆しております。万一、本書の記載内容により不測の事故等が生じた場合、著者、出版社はその責を負いかねますことをご了承ください。また、本書に記載している薬剤等の選択・使用にあたっては、医師、薬剤師等の指導に基づき、適応、用量等は常にご確認ください。