かゆみトラブルへの対応で忘れがちなこと

(1)かゆみは我慢出来るものではない

本能的に掻きたいですが、やはり掻くことが一番良くないことです。いろいろな制限がある中、かゆみだけは我慢しないことが大切です。出来るだけ早めに、「引っ掻く」以外の方法で出来るだけ早めに対処することになります。基本的な対応方法は「冷やす・潤す・かゆみ止め」です。

(2)皮膚が壊れなければ比較的短期間で皮膚表面は良くなる

皮膚自体の状態が良ければ、かゆみが治まれば終了になることも多いのです。しかし、一度掻き壊してしまうと、掻き壊してしまった皮膚が元通りになるには一週間程度はかかります。そういった意味でも早めの対処が大切になります。また当然のことですが、皮膚表面が良好ならば生活しやすいものです。

(3)改善してくると、皮膚の治癒速度は遅くなる

通常自然治癒の場合、炎症が強い時、治癒速度は非常に速く、正常に近くなるとゆっくりになってきます。引っ掻いてしまって傷になっている場合、初めのうちは治りが速いのですが、途中からなぜかゆっくりに感じる場合があります。特にその治り間際が異常にかゆくて、また掻き壊すこともよくあります。ステロイド外用剤を使う場合は、この治り間際で止めてしまう方も多くいるように思います。「まだ少しかゆいけれど、ずいぶん良くなったからステロイドの塗り薬はもういいか」ではなくて、使い始めたら、きっちり良くなるまで使うことが大切です。結局その方がかゆみに悩まされることも少なく、ステロイド外用剤のトータルの使用量が少なくて済むことが多いのです。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『かゆみの処方箋』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。