⑥時代に逆行

前項のように、1980年代後半から核兵器に「歯止め」を掛ける機運が高まり核兵器の削減は1980年代の半ばの米ソ両国合わせた核弾頭数万発から13,500発内外に迄削減されましたが、今世紀に入った頃からその歯止めが消え核兵器削減の時流が逆行している感が払拭できません。不安定な国際情勢・紛争の存在にその理由が求められるのでしょうが、そのことと核を保有することに理知的なつながりがないことは今は世界に共通の認識となっている筈です。

なぜなら、核戦争をすれば、人類の滅亡につながるからです。仮に、核戦争で相手方を全滅させ此方に多少が生き残ったとしても、この“戦勝者”も核による生態系の壊滅により続いて“生物的敗者”となり滅亡することになります。つまり、核を保有することに戦略上の意味はありません。幸福のために使用できる人類の心身および財物という資産を人類を不幸にするために投資しているにすぎないことになります。

従って、核は増強を図るべきものではなく、現存するものを温存するべきものでなく、恐る恐るちびちびと削減をするべきものでもありません。

可及的速やかに人間界から一挙にそして完璧に有無を言わせず駆逐するべきものです。願わくは、世界のリーダーたる米ロには人類の未来の確保と栄光のため、是非とも率先して核廃絶という人類史上第1の英断と善処をお願いしたいものです。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『神からの自立』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。