こより川のグラウンドで

次の日レオは、やくそくどおり、力いっぱいがんばりました。

走って、とって、なげて、また走って…。

「かっこいいぞーっ!」

「今のもサイコーッ!」

ベンチには、ぴょんぴょんとびはねながらおうえんしている、トワのすがたがありました。

「よくやった! かんぺきだ!」

「まだまだ、いけるぞ! 力を出しきれーっ!」

トワのおうえんを聞いていると、レオは走っても走っても、力がわいてくるような気がしました。

レオたちのチームは、さいごまであきらめず、とうとう一点リードをまもることができました。

「うおぉぉぉぉぉ…」

グラウンドに、みんなのおたけびがこだましました。

「やったぁぁぁぁ…」

いつの間にか、レオもいっしょに、もみくちゃになっていました。

『やっぱ、なかまって、いいなぁ…』

レオはふと、ヤマトやムッチー、そしてユキチのかおを思い出しました。

それからレオは、トワをさがしました。

「きみの、おうえんのおかげだよ」

そう言いたかったのです。

ところがトワのすがたは、どこにも見あたりませんでした。

ふしぎなことに、だれに聞いても、みんな、トワのことを知りませんでした。

「へんだなぁ…」

レオは、わけがわからないまま、こより川のグラウンドをあとにしました。

「ただいまぁ!」

家に帰ると、おばあちゃんがごちそうを作って、まっていてくれました。

「わっ、うまそう!」

テーブルの上には、おさしみやからあげ、エビフライ…。

「おれたちのチームがかつって、知ってたの?」

レオはごちそうをほおばりながら、今日の大かつやくの話をしました。

おばあちゃんは、コロコロわらい声をあげながら、聞いてくれました。

「おまえの父さんも、むかし、少年野球チームに入っていたんだよ」

レオはおどろいて、はしを止めました。

「えっ、そうだったの?」

今までお父さんから、聞いたことがなかったからです。