「お母さん、公務員だっけ? なんで転勤についてきたの?」
「あの人朝起きれないし…(笑)。家事もお父さんにけっこう頼ってたから心配になって。一回首都圏に住んでみたかったからいいかなって」
「住んでみてどうよ?」
「川崎の人はフレンドリーですごく助かった。中2のとき来たんだけど、転校生でもどんどん話しかけてくれるし、私、人見知りなところ治したかったから、ここいいな、居心地いいなって感じ」

長い文章喋ったの初めて聞いた。

「椎名くんに話しかけたときも勇気が要ったけど、なんかもう、話す前にごちゃごちゃ考えなくていいんだな、思ったまま聞いちゃえばいいんだ、でないとどんどん置いてかれるって、こっちきて学んだこと」
「そうだよ、こいつに話しかけんのにキンチョーする必要全くなし!」
「お前な」

シャイな子が心を開いてくれた瞬間に、なんかジンときた。しかも仙台? うちのオカン実家と同じ宮城じゃん。続いて雄大。

「オレ、お前らの出す曲とかアーティスト、名前だけ何となくわかるのもあるけど、ほぼ知らねぇわ。いつの洋楽? オレ的にはワンオクとかKing Gnuとかやるイメージだったんだけど…」
「いいんだよ、たぶん洋楽ばっかやってもウケない。最近売れてんのむしろ俺ら疎いから教えてくれよ」

そんなこんなで、

・三人編成でいく。ヴォーカルは曲ごとに歌えるやつ優先
・やりたい曲のバンド譜は各自用意
・校外のスタジオで週1練習

等々、あらかた、決めた。

まずは、新歓ライブの2~3年生投票で1位になって、秋の文化祭の後夜祭で、全校生徒の前でライブやるのが目標。新歓ライブは2曲までだから、各自2曲の候補を来週までに考えてくることに決めた。バンド名の検討まで全然いかなかったけど、これまた次回だな。

だんだん形になっていくのがうれしい。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『人間関係貧乏性』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。