しかしこの第一歩も、誰かが懇切丁寧に教えてくれるわけではなく、マニュアルとしてもらえるわけでもなく、新入職員に不文律として期待されていることなのです。職務上のことだけではなく、同時に、態度やコミュニケーションの仕方にも一定の型があります。

出勤時は「おはようございます」と言う。帰りには「お疲れ様でした」と言う。何かをしてもらった時は「ありがとうございました」、間違った時は「申し訳ありません」と言う。これはその職場によって多少ニュアンスが違います。芸能界では昼でも夜でも「おはようございます」と言うようですが、表現は違っても、挨拶ができる、「ありがとうございます」、「ごめんなさい」が言える、小学生のようですが、人間関係の一般常識が求められます。

また、社会人として、仕事には遅れない、必要な書類はなくさない、どこにあるかわかるようにする、周りの人に不必要な迷惑をかけない、などが要求されます。一歩進んで、周囲の進捗状況を見ることができる、必要な時に助けを求めることができる、またほかの人の様子を見て声をかけたり助けたりすることができる、というようなことも業務遂行上、期待されます。これは人としての態度の期待とも言えます。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『“発達障害かもしれない人”とともに働くこと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。