私はとても悩みました。何度も帰って来てほしいと言ってくる元夫の所へ戻るかどうするか。空は嫌だと言いますが、このゴキブリだらけの部屋でやっていくのは大変でした。

冷蔵庫の中もゴキブリだらけ炊飯器の中にもすぐに入ってくるのでご飯も炊けずに毎日パンケーキを焼いたり、何か買ってきて食べるかしかできないのです。はっきり言ってもううんざりしていました。

元夫が空にゲームを買ってあげるから戻っておいでと言い聞かせて、私は職員の人達にうそを言って施設を出る事にしました。半年ほど施設で暮らしましたが、本当に職員の人達は皆親切で優しく大変お世話になりました。

元夫はもう暴力はふるわないと約束をしました。それでもう一度再婚する事になりました。これも空の為だと、これから空が大人になるまでにはお金もたくさんいるだろうし、夫がいた方が何かといいと、それに体の弱い空にとってきれいな家で安心して住める方がいいに決まっていると考えたからです。

しかし、私の考えは甘かった。いくら暴力はふるわないと約束しても夫はやはり、すっかりいい人にはなっていなかった。毎日飲んで気に入らないとぶつぶつ言う。最初は変わってくれたんだと思っていたけど、日がたつにつれもどっていくのが分かった。

空には何で戻ったのかといつも言われて、「ゴメンネ」母ちゃんがまちがってた。帰ってくるんじゃなかったね。ゴキブリぐらいがまんしておくんだったねと空にあやまった。

夫は私に暴力をふるう事は無くなったけど物にやつあたりするのは多かった。カベを殴ったりドアを蹴破ったりした。何とか空の小学校卒業までやり過ごす事ができた。

6年生の運動会もちゃんと夫は参加して親としての役目もはたせました。最後の運動会で、空の友達が夫の頭をパチパチたたいて遊んでいた時、私は冷やりとしました。

もし殴ったりしたらとんでもない事になると思い、すぐに止めに入れる様にと近くで身がまえていましたが、何も起こらずに済んで良かった。近くで空が見ていたので、私は空がどんな気持ちで見ていたかと思うと心が痛みました。

そしていよいよ空も中学生になりました。空はテニス部に入りました。がんばってね、と私は空を応援します。私と空は夫がいない時に二人でおしゃれなカフェにランチに行ったりカラオケに行ったりしました。

夫は温泉くらいにしか行こうとしません。生活もやはり苦しくて、あまりお金に余裕がありませんでした。私もすぐに仕事を見つけて働いていましたが全然生活は楽にはなりませんでした。

私には友達がいませんでした。他のママ友達は出掛けたりしていましたが、私にはそんな余裕もお金も無かったので、会話に入れず、いつの間にか一人になっていました。

空は友達といつもどこかへと遊びに出掛けていました。私はふと家の窓から外を眺めると、私だけどうしてこんなに苦しいのだろうか? 本当につまらない人生だなと思いました。

外を通る車を見て、他の人達は自分よりも幸せなのだろうか? いつになったらこの苦しい生活から抜け出せるのだろうか?

そんな事を考えると涙が止まらなくなるのです。そんな事が何度も何度もありました。