岬明純は許さない

報道? 遭難の……?

「しかたないよね」

何も考えられない頭で、答えた。良典が返事をしているのを、夢のような光景の中、聞いた。

それでも、もう眠れず、自分の携帯を確かめると三時三十五分と三時五十分に、緑警察署から着信があった。明純に連絡を取れない時のために、良典の携帯番号を教えてあったのだ。

ちょうど眠りに入ったばかりで、明純は気づかなかったようだった。この「報道してよい」という返答が、後に二人を苦しめることを、その時の明純は全くわからなかった。

明純は良典の車で、武蔵山脈の『毘紐天』駐車場に向かっていた。高速を使って二時間。サクラの車を見つけると、そこが『毘紐天』駐車場と思い込んだ。そして停まっている大きな自衛隊のバスに、様子を聞いてみた。

若い運転手は、天気が悪いので打ち切られるかもしれないので、今、連絡を待っていると話した。武蔵山脈は大風・大雨・大嵐。とても捜索が順調とは思えなかった。

サクラの車から数台分離して車を停め、しばらく待っていたが、昼だというのにどんどん暗くなり、さらに駐車場より上から、何台か自衛隊のバスが山を下って行った。どう考えても、今日の打ち切りはあきらかだった。