Slime Slime Slime

メデューサの泉で手に入れた薬草の力のお陰で、タクは翌朝には元気を取り戻していた。

驚異的な回復力だ。ミコトが目を覚まさないように、そっと洞窟を後にすると、昨日の場所へと向かっていた。そこには、とてつもなく大きなモンスターがザックリと深い傷を体に負い、倒れている。どうやら、たった一撃で殺された様だ。

「即死だな……。」

タクがつぶやいた。とても信じがたいが、これは事実である。

あの時ミコトは、タクの剣をいとも簡単に引き抜いた。その剣は、非常に攻撃力が高いが、それ以前にとても大きく、大変重いのだ。この剣を使いこなせる者は、タク以外には誰もいないはずだった。

「本当に、真の勇者なのか……? あのミコトが?」

タクはしばらくモンスターの倒れているその場所を眺め、ゆっくりとミコトの本当の姿を理解していった。

(血まみれのメアリーのカクテルの意味は、こういうことだったのか。)

「いや、だけど俺にとっては、まるで天使だな。」

そうつぶやくと、タクはとても嬉しそうに笑い、ミコトのいる洞窟へと足早に戻って行った。

ミコトの提案で二人は、一旦メデューサのいた泉まで戻ることにした。ミコトは太陽の位置、影の出来る方向、来る時につけてきた目印などから大体の方角を割り出した。そしてさらに、持ち前のカンを働かせ、意外にもあっさりと泉に戻ることが出来たのだ。

泉のあるこの場所は、とても気持ちが良い。暑過ぎず、寒過ぎず、薬草や毒消し草が茂り、澄み切った水もある。木々の隙間から日差しが差し込み、モンスターはもういない。

「タクさん、ここを拠点にしましょうよ。」

ミコトがふいに切り出した。

「戦うなら、もっといい武器とか防具も必要ですし、お金もないと。」

二人はこの場所にまず小屋を作り、しばらくの間、周りに生えている薬草と毒消し草を売って戦いの軍資金を得ることにした。それらを町に持って行くと、飛ぶように売れた。最近の治安の悪さで、需要が増えていたのだ。

しかし、泉からこの町まではかなりの距離がある。毎日往復するには、大変な作業だった。そのためミコトとタクは、何か別の資金繰りの方法を考え始めた。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『Slime Slime Slime ~戦地に降りた天使~』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。