フリーズドライ製法による、日本初のカップみそ汁誕生へ。

人間は追いつめられると最後にはアイディアが浮かぶものと思っていたが、今回だけはそう簡単にはいかなかった。ただし、せっかく流通網を確立できたのだから、味噌だけでなく他の加工食品を開発して売ることは可能だと思っていた。とは言え、なかなか開発は進まない。

そんな時、永谷園の「あさげ」「ゆうげ」のインスタントみそ汁、ネスカフェの「フリーズドライ製法」のテレビ宣伝に目がとまった。あまり聞いたことのないその製法に興味を抱き、調べてみることにした。

調査の成果はこうだ。従来は食品を熱で乾燥させていたが、フリーズドライ製法は食品を凍らせてから気圧をゼロにした真空の装置に入れて水分を蒸発、(昇華現象により)乾燥させる方法である。これにより軽くて、栄養が生の食品と変わらない優れた製品が出来上がる。

フリーズドライ製法はアメリカが宇宙食用に発明したものだが、これにいち早く目を付けたのがネスカフェの「フリーズドライのコーヒー」で、現在も世界中で売れている。確かにこの製法は、熱を加えないので味も香りも格段に優れていることがわかった。

みそ汁と具材(野菜)はフリーズドライのほうがはるかに美味かった。だが、ここから先が見えなかった。わかっていることは、味噌以外の加工食品を開発してヒットさせねばならないことだ。それは、いったい何だろう?

問題意識は常に持っていたが答えはそう簡単に出ない。食品の開発は、千に三つ当たれば良いとされているくらい難しいのだ。当然いろいろトライしてみたが、たいして売れなかった。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『復活経営 起業して50年 諦めないから今がある』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。