帰還

「地球防衛隊、まもなく本船は惑星周回軌道から離脱します。

2年後楕円軌道を描いてから、もう一度だけ火星の近くを通過しますが地球軌道に入る燃料もなく、コンピューターの起動電源もありません。もはや自立走行能力が残っていません。必ずそちらで本船をキャッチしていただきたい。キャッチできなければ、本船は再び宇宙のかなたへと永遠の放浪の旅に出ることになります」

地球防衛隊は、「当方も確認できています。こちらも今護衛機を発進させました」

ウラシマ「本船の内には出発時の4万年前の動植物の標本細胞が1万点保存されています。人間の再生細胞も保管されています。必ずキャッチして救援してくれることを願います」

「ウラシマ安心してください、必ずキャッチして見せます」

ウラシマは「安心してください」と、言われたものの、こんな巨大船をキャッチできるのか半信半疑であったが、4万年の科学技術の進歩を信じるしかなかった。

「まもなく全電源停止します。あとはよろしくお願いいたします」

何とも人間らしい挨拶で締めくくられた。

地球防衛隊からは、ウラシマを追尾する無人護衛機を火星基地から2機発進、ウラシマのすぐ横を並走して追いかけることとなった。

この無人機には人型アンドロイドが乗り込んでおり、人間とほぼ同じ作業ができる能力がある。

そして、ウラシマから送られた構造データからまず外壁の調査に入り小型探査機を横付けさせた。