古代の航海者、大航海時代のパイオニアたちから近代の船乗りに至るまで時代を問わず命がけの航海から未知の島々にたどり着いた時には皆同じような感動や達成感、そして心の安らぎを持った事であろう。

時化た外洋は怖い。一九八〇年八月、式根から網代に戻る前日に新島・式根間の通船の船長をしていると言う人の民宿に泊まった時の事である。その日は夜通しゴーゴーと強い西風が吹きつのり、まんじりともしない朝を迎えた。

早朝に至っても風は収まらず民宿の主に、どうしても今日のうちに網代に帰りたいと言うと、心配して色々アドバイスをしてくれた。新島、利島、大島と、北に連なる島の風下になる東側を伝いながら帰ると良いが、この海の状態では新島の先の鵜渡根と利島の間のうねりに一番気をつけよと言う。出港してその凄さを知った。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『海の道・海流』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。