プロローグ

朝十時、ノートパソコンを立ち上げてW大学のホームページを開き、指示に従って何度かクリックを繰り返すと、ディスプレーに目的のページが現れる。

「A30220……ついに、やった!」

それは、ずらりと並んだ合格者の受験番号の中から自分の番号を見つけた瞬間だった。何とか私は、ストレートで第一志望のW大学法学部に合格することができた。小躍りしたい気持ちを抑えてスマホのLINEを開き、まずは吉報を心待ちにしているはずの母に報告する。

――受かった! 
――おめでとう!

瞬時に返ってきた。続けて、ダメもとでもう一人にも送ってみる。

――おかげで合格しました。ありがとう。

やはり、いつまでも既読にはならなかった。