これらを指標とし、その指標が高いほど持続的競争優位を高められるとしています。彼は、内部環境に着目し、持続的競争優位を左右する要因は、所属する業界の特徴にあるのではなく、その企業が業界に提供するケイパビリティ(能力)にあり、これが収益性を決めるという考え方です。このような視点に立ってぜひ皆様の病院あるいはご自身においてもVRIO分析を行って自組織の強みを認識し、強みを活かす戦略の立案を行って頂ければと思います。

範囲の経済と多角化経営

規模の経済や経験曲線効果によってシェアや累積数を増加させることのメリットは既にご紹介しました。ここでは多角化についても述べたいと思います。複数の事業を展開する際に、複数の事業で経営資源を利用し、相乗効果で効率を挙げることを範囲の経済(economies of scope)と呼びます。

肉屋が焼き肉店を経営すると、安く肉を仕入れることで収益を向上させられます。医療法人が核となる急性期病院を中心に高齢化社会を見据えた介護老人保健施設、通所リハビリテーション、訪問看護ステーションなど慢性期医療施設への参画によって多角化することも、医療の人材を介護や福祉に回すことができる、介護者の病状が悪化した際に系列の施設に入院させることができるなど、範囲の経済を活かしてシナジー効果を得ることができます。