コーチが、みんなを呼びあつめました。

「ちゃんと、そろってるか? よーし、番号…」

点呼をとろうとしたとたん、マネージャーがあわてて止めました。

「コーチ! このグラウンドで、点呼はだめですよぉ」

「あ、そっか…」

みんなが、どっとわらいました。

『なんで?』

レオには、なんのことか、わかりませんでした。すると…。

「こより川のグラウンドで点呼をとると、どうしてもひとり、多くなっちゃうんだぜ~」

「むかしからの、言い伝えだよ」

少年たちが、ニヤニヤしながら、おしえてくれました。

「気にするな。よくある、かいだん話だよ」

キャプテンが、みんなをだまらせるように言いました。

「よし、かいさんだ! 気をつけて帰れよ」

「はいっ!」

少年たちはちりぢりに、土手をかけあがっていきました。

レオも、うしろからついていきました。

「今日は、すごかったね」

あの、玉ひろいの少年の声がしました。

ふりむくと、やっぱり十八番の少年でした。

「ぼくは、トワ。永遠(えいえん)とかいて、トワ」

「ふ~ん…。かわった名まえだけど、いいひびきだな」

「きみこそ、レオなんて、かっこよすぎだよ」

レオは、ほめられてうれしくなりました。

「きみのおうえんも、すごくよかったよ」

「ほんと? うれしいな。ぼくはいつだって、思いっきり、なかまをおうえんしてるんだ」

「おれ、明日の試合、がんばるよ」

「うん、きたいしてるよ」

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『ソウル・テール だれも知らない、オレたちのじゅもん』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。