-------ブラック・バード-------

参観日には、殆ど来なかったけど、何か俺が発表する系の行事には、いつも必ず来てくれた。

中学のときの文化祭の出し物の弾き語りも、オッサンに曲、相談したっけな。

「アコギで出来て、そんなに長くなくて、カッコいい曲ない?」

ザ・ビートルズの、ブラック・バード。チビッ子ギャングの雄大に手伝ってもらい、初めて人前で歌った。

吹奏楽で、指揮の先生を見つめ、先生がタクトを振るその瞬間に、皆の集中が、意識が、想念が、見えないエネルギーになって立ち昇るのを、一番後ろから眺めるのが好きだった。

でも、雄大と二人、体育館ステージの真ん中で、ざわめいた空気が一瞬静かになり、イントロのギターを弾き始めたときの、空気の色が変わる瞬間も、シビレたな。

あのときから、ライブやりたいって思ってたのかもしれない。

文法は怪しいけどMTV効果で発音だけはいつも誉められる俺の歌と、短時間にも関わらずすぐコツを掴んだ雄大のギターのコンビ弾き語りは結構ウケて、アンコールを用意しておらず同じ曲をもう一回やったっけ(ダサ)。

音楽は、話したことがない人とも、その空間で繋がれる特別なもの。

聴くのも観るのも好きだけど、自分でやるのがやっぱり一番楽しい。

-------雄大、確保-------

雄大、そういえば高校来てからまだ喋ってねぇな。

たしか、吹奏楽には行かなかったはず。

LINEしとこ。

結:おばんです(宮城弁)

雄:なにそれww

結:こんばんはだよ

雄:へーww

結:部活どこ入った?

雄:驚くな、まさかのバド部

結:なっ! さては運動部ナメてるな、貴様