店の看板に文字が増えた。"猫カフェ"の上うえに、"メイド服のきゃわいい猫たち"。その下したに、"メイド服を着た犬1匹(友情出演)"。

いよいよゲンキが表舞台に立たされる日には、サークル仲間もサクラで来てくれて、さっそく店の中からSNSを発信した。メイド服姿の犬1匹と猫6匹が、店の中を歩きまわった。それだけでインスタ映えした。

〝お立ち台〟と書かれた特設ステージの上での食事時間には、写メを撮る人の数が増えた。天井のミラーボールが7色の光を発してまわりだすと、おとんがウケをねらってひねり出した歌詞に、めっぽう明るいメロディーがついた『犬と猫のメイドさん』という、おもしろい歌が流れだした。

朝も早よから 起こされてー ニャンとまあ

メイド服を着せられたー アーワンダフルー

働いて 働いて モットモット 働いてー

ソリャ どしてどして

おとんとおかん 楽させるため アソーレ

歌はブルース 心はブルー

聴いてるあなたは ブルーブルー

アーシンド アーシンド

ぼくたちがステージの上で食事をしていると、猫好きのお客さんたちが、笑いとともに、いっせいにスマホを向けてきた。お客さんたちの目線と、ぼくの目線が合って、ドキッとすることもたびたび。無理な注文も飛び交った。

「あっ、そのままそのまま。はい、チーズ」パチリ。

抱っこされたまま、お客さんとのツーショットも。高いところにつくられた猫通路を、ぼくたちが通る時には、下から動画を撮られた。そのおかげで、写真や動画を見ておとずれるお客さんが、じょじょに増えだした。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『愛ラブ猫 I Love Neko』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。