20. incident

「だいじょうですか?」
「はっ!」
「寝ているの? だいじょうですか? 危ないよ?」
「だいじょうぶです」
「寝てるの? こんなとこで、危ないよ?」

この時は、普通にこう言うものだと思って、言っている。

「はい。すみません」
「家、どこ?」
「家の鍵がなくて」
「鍵? でも、こんなとこで寝てると…」

その女の子は、立って、ふらふらと歩き始めた。支える様に手を添える。

「鍵がなくて、母親がいなくて……待ってるんです」
「母親がいない? こんなお時間に?」
「出掛けてて」
「出掛けてる?」
「はい」
「家の近くまで行こ、危ないよ、襲われちゃうよ、あ、もしかして、危なくないのかな?」

その時、思ったのは、その子には、そこが地元で、もしかして、地元って、危なくないんじゃないのかと思った。確かに、わたくしは、わたくしの地元で、危ないとは思わないわけですから。

「地元って、危なくないのかな、でも、家の近くで待ってたら?」
「はい」
「遠いの?」

真っすぐ歩いて、角を曲がる。帰り、覚えとかなきゃならない。駅って、あのまま、真っすぐだよね。支える様に、腰に手を当てるけど、どういう事か、飲んでて、さっきまでの気分の続きだ、チュッとその子にしちゃったのは。

「えっ、女の人ですよね?」
「うん、女だけど」
「えっ、何で」
「こういう遊び、好きなの」
「えっ、男の人ですか? 女ですよね」
「うん、女だよ」
「え、なんでなんで」

それでも、壁を背にやっぱりディープした。

「旦那いるんで」
「人妻なの?」

喉が渇いた。

「何か飲み物買ってい?」

飲みながら、少し歩いて、公園みたいな入り口に差し掛かった。その先辺りらしかった。

「この辺で」
「ありがとうございます」
「じゃあね」

21. ドラッグ・クィーンでもきゃわいぃ

今度こそ、続くことを、と、思う。その日は、人も少なかったし、そのClubのダンサーさんと喋った。

ドラッグクイーン・いわゆるおかまやニューハーフのダンサーさんも来ていたので、その中のひとりviviという子と喋った。ひとりでいる人は少なかったが、奥の椅子で、座っている1人の人に声を掛けた。