ふいに訪れた転機

私はもともと国家公務員でした。キャリアウーマンとして颯爽(さっそう)と働くことを夢見ていた私は、職場に配属されたばかりの駆(か)け出しの頃は、まだ慣(な)れない仕事に一生懸命立ち向かっていました。

当時、お付き合いをしている人がいましたが、それまでの青春時代を振り返ると、私にとって恋愛は到底(とうてい)納得(なっとく)がいくものではなく恋愛に悩まされた暗黒の日々でした。一時は円形脱毛症になるほど思い悩んだこともあります。彼は、そんな私にようやくできた念願の恋人だったのです。しかし、その彼に対しても、愛情はあったものの、私の理想のタイプ、結婚したい人ではないという気持ちを持っていました。

そんな頃に、職場の旅行をきっかけに意識し合うようになったのが、同じ職場で働いていた今の主人でした。主人もお付き合いをしている相手がいたのですが、私たちは、お互いにその関係を忘れるほど意気投合していました。

「付き合うなら結婚を前提にしたい」

主人は私より六歳年上だったこともあり、結婚を意識していました。今では笑い話になりそうですが、本当にプロポーズらしきものはないまま、結婚を前提にお付き合いをするという話に自然となっていきました。

私にとって主人は、知れば知るほど、ずっとずっと思い描いてきた理想のタイプといえる人でした。ですから、最初から結婚の話を切り出されても、何の迷(まよ)いもありませんでした。それまで付き合っていた彼のことを考えると申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、私の心は揺(ゆ)らぐことなく、主人と付き合おうと決まっていました。

それから二人の交際は順調に進み、ごく自然な流れで結婚するに至りました。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『運命の輪 Wheel of Fortune』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『運命の輪 Wheel of Fortune』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。