【小説】「双極性障害」…アッキーはノートから目をそらした

躁状態の時には短い睡眠時間でも活発に行動出来たりします。普段よりも自信を持てる反面で集中力、注意力が欠けたり、高額な買い物をしてしまう事があります。

うつ状態になると、一変して、すべての事に対して無気力な抑うつ状態になります。異常に気分が沈み何をやっても、楽しい、嬉しい、という気分が持てなくなります。

気分が高揚する躁状態と対極症状です。口数が減る、何もせずにごろごろする、など明らかに元気がなくなります。過剰な心配症になったり、自分を責めたりします。

食欲が減少して疲労感を強く感じたりします。自殺願望を口にしたり、実際に自殺を試みることもあります。

ひまりはここまでノートに書いて消しゴムで消したり、書き直して写すのを突然やめた。アッキーは、それまでは、それをぼやっ～と人ごとの様に眺めていた。

ひまりはアッキーの顔を見た。アッキーはひまりの顔を見た。

しばらく、ひまりのシャープペンは動かずにノートの上に置いたままになった。そして、アッキーもその単語をじっと見ていた。

新聞やテレビでよく見かけているその単語だ。なのにアッキーは鳥肌が立ち、慌てて両手で体をさすってノートから目をそらした。

恋して悩んで、⼤⼈と⼦どもの境界線で揺れる⽇々。双極性障害の⺟を持つ少年の⽢く切ない⻘春⼩説。