第8話 菊池涼子一等技術兵の希望

「星がきれいだ、TENCHIは宇宙から来たのかな……」

シマは、船形帽(ギャリソンキャップ)を脱ぎ髪を束ねた輪ゴムを取る、夏の夜風にシマは黒く綺麗な長髪を流した。

「どうだ、あの亀型ロボット」夜空を見上げながらシマは呟く。

「かなり使えますよ、TENCHI自体、殺傷能力のある武器は何も内蔵されてませんでした。爆発物もないです。完成させてから、いろいろ聞きだして、また、分解しますか? いずれにしても我々よりはるかに優れた科学力のある所から来たことは確かです。また、アツシから聞いたのですが、TENCHIは自身で瞬間的に移動する機能があるみたいです」

「そうだな……人体解剖ならぬ、ロボット解剖だな……お国のためか」シマは白衣から取り出した煙草を吹かす。

「私にもください」

「涼子はいくつになった」

「日付が変わって、今日が誕生日で20歳です」

「それだと煙草もいいか。とんだ誕生日だな、私も今日が誕生日なんだ……」

「先輩もですか偶然ですね。おめでとうございます」涼子は無邪気に微笑む。

「いつの間にか27歳……あまりめでたくないさ」シマは涼子にマッチで煙草に火をつけてやる。

「先輩、絶対、絶対、絶対、勝ちましょう!」

「お前も狂ってるな……戦争は、何もかも狂わす……」涼子をじっと見つめながらシマは呟いた。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『浦シマかぐや花咲か URA-SHIMA KAGU-YA HANA-SAKA』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。