早坂は同期の泌尿器科医だが、4月に初めて会った時から仲良くやっていけそうな雰囲気を感じていた。お互いに忙しく、なかなか話す機会はなかったが、院内で見かけるたびに、早坂も頑張っているんだな、と刺激を受けていた。おそらく向こうも同じで、僕たちはお互いに気になる存在だった(と思う)。

『お疲れ様。研修は順調? 時間がある時に飲みに行こうよ』

早坂からのメールは飲みの誘いだった。

『いいね。僕は夏休み中で今週ならいつでも大丈夫だけど、そっちはどう?』

僕はすぐに食いついた。そういえば、東国病院での研修が始まってからほとんどプライベートで人と話をしていない。誰かと話がしたかったのかもしれない。

『実はおれも今夏休みなんだ。ちょうどよかった。じゃあ明日とかどう?』
『分かった。じゃあ明日にしよう』

「久しぶり」

早坂は半袖に短パンというラフな格好で現れた。私服姿の早坂は新鮮だった。

「久しぶり。とりあえず入ろうか」

僕たちは予約しておいた病院の近くの焼肉屋さんに入った。

「せっかくの休日なのに、どうしてこんな病院の近くの店にしたんだよ」

席につくなり早坂は小声でそう言った。

※本記事は、2020年7月刊行の書籍『孤独な子ドクター』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。