図書館

ひまりは田畑さんに思い切って、アッキーママの病気の名前を尋ねた。内科でもない。整形外科でもない。精神科とだけアッキーから聞いている。

アッキー自身もアッキーママの病名を知らない。田畑さんは声を小さくして、体の上半身をかがめてひまりの耳元に近づいてささやく様に言った。

「『そうきょくせい』、僕も『そうきょくせい』なんだよ。一緒の病気だから、アッキーママの気持ちもよくわかるんだよ」
「『そうきょくせい?』田畑さんも『そうきょくせい?』」

そうなんだ、ひまりは首を傾げた。まったく聞いたこともなかった。アッキーを見ると、口をへの字にして不機嫌そうである。ひまりだけに優しくてアッキーママの病名まで告げているのが面白くない。

それでも『そうきょくせい』とはどんな病気だろう。アッキーもそんな言葉は初めて聞いた。アッキーママからもアッキーパパからも聞いたことがない。たいした病気ではないさ、アッキーは自分自身にそう言い聞かせていた。

「ひまりちゃん、僕はそろそろ病室に戻るよ。そうだった、そうだった、手紙を預かるから。誰にも見つからないようにするからね、約束するよ」

軽くウインクして田畑さんはテーブルの下で、ひまりの手紙を受け取った。そして売店のイートインから病棟に向かって歩いていった。