薬剤師・国際中医学専門員の佐田義尚氏が、「慢性的なかゆみの精神への影響」そして対処法についてわかりやすく解説していきます。

慢性的なかゆみの精神への影響

慢性病を罹患すると、とかく精神面に影響をきたすことが少なくありません。特にストレスが発病・悪化の原因に挙げられる場合、ストレスと病気の間に悪循環が形成され、そこから抜け出せない限り悪化の一途をたどります。

アトピー性皮膚炎の場合も、ストレスによる発病悪化があり、その症状、つまりかゆみ自体からのストレスは多大なものになります。さらにアトピー性皮膚炎であるがゆえに、症状を悪化させる二次的なストレスも生じるのです。

患者の立場からすると、皮膚の湿疹が他人の目に触れることは、健常者が思う以上に気になります。私自身もそうでした。したがって、顔に湿疹が出ていると、人と会話する時に目を合わせなくなります。

そしてその状態が長く続くと、会話することすら嫌になり、次第に自分の殻に閉じこもってしまいます。また人の目を気にするあまり自分を主張できず、うまくコミュニケーションをとれなくなって、他人の目には協調性に欠けるように映ることもあります。