冗談じゃない。太郎はときどきこんなずれたことを恥ずかしげもなく言う。太郎は「告白」という言葉に全身全霊をかけたかのように、唇をぎゅっと噛みしめ、ぼくを睨み付けた。

「しょうがねえな」
「ほ、本当か」
「まだ何もいいなんて言っちゃいないよ」
「頼む」
「ああ、何とか話してみるけどな」
「久志が手伝ってくれるんなら。大丈夫だよな」
「でもな、そんなこと言っても、あいつ爆笑するだけだぜ」
「大丈夫だよ。真剣に言えば分かってくれるよ」

こんな脳天気な話にはうんざりする。

「じゃあ、お前が真剣にお願いすればいいだろ」
「できないから頼んでるんだろ」と手を合わせた。
「ああ」

仕方なく、ぼくは小さく頷いて見せた。

「本当! 協力してくれるんだね」

太郎の眼は涙ぐんでいた。

「でもな、何度も言うようだけど、あいつ、そういうところはドンカンだからな」

後の言葉を太郎はすでに聞いていなかった。

「ありがとう」

太郎はぼくの手を握りしめると、小躍りするように扉の向こうに消えた。ぼくはひとり、屋上に取り残された。

※本記事は、2018年3月刊行の書籍『ブルーストッキング・ガールズ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。