「とって!」

レオのからだは、考える間もなくうごきました。

ボールをキャッチし、おなかでかかえこむようにでんぐりがえったとたん、また声がしました。

「なげて!」

レオは、思いきりなげました。

ボールは空高く、いきおいよくとんでいき、スパンと音を立てて、キャッチャーミットにおさまりました。

「おおっ!」

かん声があがる中、キャッチャーはすかさず、ランナーをとらえました。

「アウトーッ!」

しんぱんの声が、グラウンドにひびきました。

でもすぐに、レオが見物人だと気がついて、みんな、わっとわらい出しました。

少年たちが、かけよってきました。

「なんだよ、びっくりしたぜ~」

「見かけないかおだけど、どこのチーム? なんて名まえ?」

「お…おれは、レオ…」

レオはみんなにかこまれて、しどろもどろに答えました。

「きみ、す手でキャッチしてたね!」

「しかも、あんな長いきょり…、すごいじゃん」

「いや、あの、十八番の人に言われて…」