俳句・短歌 短歌 2021.01.24 歌集「祈り」より三首 歌集 祈り 【第14回】 佐藤 彰子 ―ああだから月はみんなに愛されるんだ自分ひとりを見てる気がする― 夜明けに人知れずそっと咲く花のように、 それでいいんだよ、と許してくれるような、 自分のかわりに、幸せを願ってくれるような。 心に灯りをともす、優しくあたたかな短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 雷神は覚えていたり「守って」と詩につづりたる曽我ひとみの名を 真っ白な衣裳の奥より宗次郎心臓のような笛を取り出す 土笛の音にふたたび問いかける「人は宇宙に行ってもよいか」
エッセイ 『59才 失くした物と得た物』 【新連載】 有村 月 結婚してから35年、「愛」はなくとも「情」は生まれる ダンナが死んだ―まさかの現実。自覚はなかったが、この時から私の「おひとりさま」は始まろうとしていたようだ。たしかにダンナは肝臓の数値が悪いと1ヵ月半入院したものの退院、体力も少しずつ戻りはじめ還暦祝の1泊旅行もし、そのたった1週間後にはこの世からいなくなるなんて、頭の中のすみっこにさえなかった事。よくいう野球の九回裏2アウトからの逆転満塁ホームラン的な。その1年半前、最愛の母が「くも膜下出血」で…
小説 『俺たちのアビリティフォース』 【第20回】 藪坂 りーた あの時の姿になれた!力を手に入れたレッカは憑依生命体へと立ち向かう! 意を決した後、それを天に掲げ、「来い!」と短く静かに声を張った。すると一層の輝きが体を包み込み、「……お、おお。 き、きた! 」あの姿に……、なれた。全身をくまなく確認したが、ちゃんと全身オレンジ色を基調としているあの時の姿だ。「っしゃあ! 行くぞっ!!」自ら鼓舞するように両腕の拳を握りしめ自分に気合を入れる。衝動が抑えきれない。つい先程存在を頼りにしていた院さんの事も待てず、いきなり目先数十メ…