もうひとつ、周りの人の反応は、ほとんどの場合、驚きも怒りも口に出していないということです。口に出して伝える時は、職務上の注意や叱責となり、事態の結果です。

発達障害の傾向がある人は叱られ自分を否定されたという経験になり、注意するほうも何回言っても変わらないという怒りや諦めに変わっていき、就労継続に赤信号が点滅し出します。この時点で上司が発達障害の傾向がある部下に対し効果的な対応を取ることが求められているのかもしれませんが、障害者雇用ではないので、合理的配慮とか障害者雇用のための人的な配置などはありません。

そして多くの職場では、職員の個人的な特徴に対し配置転換や研修、訓練をする余裕はありません。加えて、このような事態に対し周りの人が感情的な問題や精神的な反応を起こしているならば、建設的な対応は望めません。双方にとって、きびしい事態となります。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『“発達障害かもしれない人”とともに働くこと』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。