価格は高かったが、バロース製(現ユニシス製)で、セールス別売上げはもちろん粗利益を出すことができたので画期的だった。同業者が何社も視察に訪れては、皆が驚いていた。

この時を契機に、上野食品は売上げより粗利益管理に重点をおく経営を何十年間も続けてきた。業績の「見える化」に大いに役立ったと言える。

さて、話を戻すと、その使節団の中でどういうわけか国分の掛札さんに目を掛けられていた。私は「東武ストアから味噌の大量注文をもらっているが口座がないと流通できないので、ぜひ国分さんの口座を開いて欲しい」とお願いした。すると、すぐさま「管轄は板橋営業所だから」と所長に連絡を取ってくれた。

さて、売上げナンバー1の天下の食品問屋が新規口座を開いてくれたのである。それには頼んだ私も驚いたし、本当に幸運な出来事だった。

心から嬉しくて掛札さんには五十年経った今でも感謝し連絡を取っている。もし使節団に参加していなかったら、あるいは参加しても掛札さんに悪い印象を与えていたら新規口座は開設できず、その後の展開もなかったわけである。それを考えると「願いが天に届いたのか」と不思議でならないのだ。まるでドラマのような話だが、これは真実なのだ。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『復活経営 起業して50年 諦めないから今がある』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。