こより川のグラウンドで

「おや、どこに行くの?」

おばあちゃんの声が、追いかけてきました。

「こより川の土手だよ」

レオは、ぶっきらぼうに答えました。

夏休み明け、レオはがっこうに行くのをやめてしまいました。

すると、なかよしのムッチーとヤマトが、てんこう生のユキチをつれて、たずねてきました。

でもレオは、じぶんのへやから、一歩も出ようとしませんでした。

しんぱいしたお母さんが、レオをお父さんのいなかのおばあちゃんの家に、あずけたのです。

「くらくならないうちに、帰っておいで。今夜は、牛丼(ぎゅうどん)だよ~」

おばあちゃんは、まい日、レオのすきなものばかり作ってくれます。

「ありがと…」

レオは小さくつぶやいて、家を出ました。

『こんなやさしいおばあちゃんから、なんで父(とう)さんみたいな、オニが生まれたんだろう…』

お父さんは、レオが小さいときから、とてもきびしい人でした。

「弱虫はだめだ。なき虫もだめだ。からだをきたえろ。強くなれ」

それが、お父さんの口ぐせでした。

レオという名まえも、お父さんがつけたそうです。もちろん、百じゅうの王者、ライオンのことです。

レオは、ほんとうはサッカーをやりたかったのですが、お父さんがすすめる野球チームに入りました。

まい年、全国大会に出る、強いチームでした。