誰からも教えてもらえない環境下、着物を着る人も少ない時代が続き、自分で着物を着ることもできなくなったと同時に『着物着付け学校』が次々に誕生しました。先生の免状を出す学校も流行ります。『着付けの先生』に習う流れが常識になったのは、この頃からです。

今では、着物を着るには「着付け学校に行きましょう」と誘導する広告に対して、誰も疑問を持たなくなっています。このことを知った外国の人たちは「滑稽(こっけい)だ」と言います。

私は随分前から、振り袖を着てSNSにアップすることがありました。

ある日のこと、全く知らない男性に、SNSに「既婚者で、何人も子供のいる女が振り袖を着るなんて、図々しい! 振り袖は成人式で着るものだ」と書き込まれたことがありました。着物人口が減少している中で「振り袖は未婚の女性が着るのが常識だ」とぶつけてきた男性に腹立たしさを感じ、成人式で振り袖を着るようになったのはいつからなのか、その経緯を調べることにしました。

振り袖の語源ですが、『振り』は袖が付いている『脇の穴(身八つ口<みやつくち>)』のことで、当時は大人の着物も小さい子供の着物も『振り』がない小袖でした。しかし、子供は体温が高く、頻繁に高熱を出すので、その熱を逃がすために『振り(脇の穴)』を作るようになりました。『振り袖』の始まりです。

 
※本記事は、2020年12月刊行の書籍『きょうは着物にウエスタンブーツ履いて』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。