著者・村瀬英晃氏と個性豊かな社会人で行っている勉強会、学生時代の恩師とのやりとりから生まれた自由な発想やアイデアで問題解決に繋げる水平思考について連載形式で紹介します。

テーマを持つ強みとテーマを生み出す源とは

「響き合う 自分自身の 経験が うねりとなって テーマを生み出す」

「テーマとは 熱量のある 旋律か 時には強く 時には高く」

先日「先輩は65歳から何をしますか?」と後輩から質問を受けた。後輩と言っても、65歳まで残り2年となった私の40代前半の上司である。彼はアウトドア派。山登りが好きでけっこう一人で出掛けるらしい。そして、ゆくゆくは登山の案内役をやりたいという。

さて、「テーマを持つ者は強い」と塩見先生は述べる。例えば、アスリートたちは競技の練習はもちろんのこと、何を食べるか、何を飲むか、何時間寝るか、何時に起きるかまでもが、自分のレベルアップや試合のための一点に向かっているといい、「その時その時の日々の感動が継ぎ目なく続く中で、テーマを与えてくれ、テーマを持つことの意味を与えてくれるのだ」という。

また、小林秀雄氏の講演の中での次の言葉も引用している。「私は計画を立てて仕事をしてきたわけではない、その時その時の感動が継ぎ目なく続き私を導いたのだ。それら、フランス文学→ロシア文学→モーツァルト→ゴッホ→本居宣長というテーマ連鎖の必然性は、そのときどきの小林氏の感動と直感によって生まれてきたのである」と。つまり、テーマを持つことが意味を与えてくれるのは、スポーツに限らず、仕事や研究、趣味の世界、第2の人生についても当てはまるわけである。

では、どうすれば、テーマを持つことが出来るだろうか?

「それは、個人的な体験が貴重な暖かい記憶となって心の中に残った熱量とか、バックグラウンドに流れる通奏低音とでも呼べるものかもしれない。そこで、優れた“何か”に出会った時、蓄積された熱量が、思いがけないテーマをもたらしてくれるのだろう」と、塩見先生は述べている。

皆さんは、今、どんなテーマを持っているだろうか。(2019・10・12 記)

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『水平思考で社会問題を詠み解く!』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。