アフターコロナで、非製造業分野のイノベーションが起こる

ネット通販、ネット広告が、大きな産業となりましたが、オンラインの進展により、今後企業の働き方、意思決定の仕方に影響を与えます。すべての産業、行政、教育、個人のライフスタイルに波及し、第4次産業革命を加速させ、社会を大きく変えていくことでしょう。

これまで製造業を中心にデジタル化が進展してきましたが、非製造業はデジタル化が大幅に遅れていました。新型コロナがきっかけとなり、すべての人がデジタル化の価値に気づいたことで、非製造業の高度化が急進展し、製造業と非製造業が足並みを揃え、生産性は格段に上がることになるでしょう。悲願であった生産性の向上がやっと実現することになる可能性があるのです。

働き方改革の号令がかかったのは、時間外労働を強制する企業が多かったからという理由ではありません。困ったことに、就活学生のみなさんの理解はずいぶん、ズレています。時間外労働の多い企業は、ブラックだと烙印を押してしまいます。もちろん、ブラックと名指しされても反論の余地のない強欲な経営者もいますが、大半が善良な経営者です。

海外から技能実習生を受け入れて、長時間労働で訴えられる経営者の報道を目にしますが、実は、経営者夫婦が、技能実習生以上に長時間働いていることが多いという現実があります。これは零細中小企業ばかりでなく、中堅、大企業にもそうした例が多いのです。現在、法制化されましたので、法令を遵守せざるを得ない状況になったのです。就活する学生がいう、夕方5時に終わる企業はいい企業、終業時間を守れないのは、悪い企業という理解が広がったのは、政府の説明が足りなかったように思います。みんな5時に終わりたいのです。しかし、生産性を上げずに早く帰宅すれば、利益が減少するのです。労働時間を減らすためには、生産性を上げる知恵をみんなで出し合い、検証しなければならないのです。成果を出している企業も増えてきましたが、まだまだというのが実態ではないでしょうか。

図1 OECD加盟諸国の労働生産性

日本の生産性は、図1にありますように何十年経っても、OECD加盟国中、平均以下です。トヨタは、カイゼンによって高い生産性を実現し、日本のイメージを支えているのですが、残念ながら、非製造業の生産性はとても低く、日本全体の足を引っ張っているのです。何年経っても変わらないというのは、仕事の仕方の問題であり、仕事のスタイルを見直さない限り、生産性を引き上げることは、難しいのです。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『ワークスタイル・ルネッサンスがはじまる』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。