コンビニを後にした私は、次の捜索場所である公園に向かった。

この公園も休みになると必ず連れてきて、ブランコに二時間も三時間も乗せた思い出の場所である。

この公園は幼稚園の横にある。

この公園でも忘れられない思い出、いや、出来事があった。「幸せって何?」と考える時、必ずこの公園の出来事を思い出してしまう。

この公園で、いつものようにショーをブランコに乗せて遊んでいたときのこと、どこかの幼稚園児位の子供がトコトコと私の近くにやってきて、

「おじさん何やっているの?」と聞く。

私は怪訝な顔をして

「子供をブランコに乗せているんだよ」

「ボクは何やっているの?」

と聞き返す。

その子供は、ちょっと元気なく「ボク一人で遊んでいるの。本当はあっちへ行きたいんだ」と指をさす。私はその方向を見る。すると、子供にとっては少し高い塀があり、中からワー、ワー、キャーキャーと子供の歓声などがあがっている。

どうやら塀の向こうは幼稚園で、運動会か何かやっているようだ。

子供は続けて「ボクもみんなと遊びたいんだ」とポツリと言う。

「お父さんと、お母さんは?」

と聞くと

「お父さんとお母さんはパチンコに行って居ないの」

と、寂しそうに呟いた。

私は何も言えなくなって黙ってしまった。子供は少し間を空けて「じゃー」と言って走り去った。

五体満足で健康であるが、家庭環境で不幸を背負っている子供。

知的障害で自閉的傾向がある息子。ブランコが大好きで二時間でも三時間でも幸せそうに乗っている。

どちらが幸せなのだろう?

幸せについてつくづく考えさせられた出来事であった。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『ショー失踪す!』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。