テーマという宝探しの方法論

「テーマという 宝探しの 方法論 シーズとニーズの マッチングだけ?」

「グループで 見つけるテーマ その過程 リーダー手腕の 見せどころか」

仕事でもスポーツや趣味の世界でも、テーマを持って取り組むことによって、得られる感動に大きな違いが生まれる。また、逆に、日々の感動こそがテーマを与えてくれる。

ゼミでお世話になった塩見先生は、「一見連続性がないように見える仕事でも、テーマ連鎖の必然性は、その時その時の本人の感動と直覚によってもたらされるものだ」という。

人に自慢できるような実績がない私でも、課題が違ういくつかの推進事務局の経験を通じて「組織で展開する活動のプロモーション技術の追求」というテーマが徐々に醸成されてきた。それが会社員としての自分の想いの基調にあったと思っている。それは、傍からは仕事に関係のないように見えることも、課題の推進というテーマのヒントや糧として見ることが出来るようになり、そうしたテーマがあったおかげで、背景も違う諸先輩の話も大いに参考になったと思う次第だ。

では、テーマを持つための手続きはどんなものか。

会社組織の現場では、上司と部下の上下関係を越えた自由な対立許容のディスカッションとコミュニケーションがテーマ発掘の促進要件と言ってしまえばそれまでかもしれないが、西田先生は学者ならではの理論的な体系化をしている。

なお、創造時代のテーマ発掘ノウハウは、部門や事業部マネジャーやスタッフに求められる課題形成能力といってもよいだろう。

研究者や技術者、企画マンに限らず、どんな仕事であれ、さらには「組織の活性化・企業体質の改善」に対しても、テーマ発掘のマネジメントは役立つ知見であると私は思うのだ。具体的には、定型業務であっても、小さな改善活動を積み重ねていくには、現状否定の着眼点や問題意識が不可欠に思える。

テーマを持つことの効用は、直接関係のないことでも、決められた時間以外でも、そこに自分の思考や行動が収斂されていくことだ。QC(品質管理)活動発表ストーリーの冒頭でいう「テーマ選定理由」はある意味で理屈である。人間の活動であるが故に、目に見えない動機づけや意欲が大切だ。

つまり、論理的な思索が重要であることには間違いないのだが、「その論理の出発点を選ぶのは、論理でなく、情緒や直覚であり、いわゆるインスピレーションが鍵を握っている」と塩見先生から教わった。

貴方はどんなテーマを持っているだろうか? そしてどんなインスピレーションを感じたことがあるだろうか?(2017・5・9 記)

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『水平思考で社会問題を詠み解く!』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。