公庫の融資、県の補助金交付事務といった実務経験をもとに、日本の金融と補助金の問題点を考察していきます。当記事では補助金をめぐる諸問題について、筆者が語ります。

融資と補助金は別だが、「マル経」は補助金の一つ

融資と補助金はまったく別物である。しかし、広瀬は『補助金と政権党』でこう書いている。

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《政権党は、党勢の拡張につながるように補助金を配分したいと考える。しかし、もともと存在しない補助金を配分することはできない。「なければ、つくれ」だ。選挙結果への反省や次の選挙に対する配慮から、補助金が新設されることは珍しくない。「マル経」と呼ばれる小企業経営改善資金融資制度もそのひとつだ。》

広瀬が「マル経」融資制度を補助金の新設だとした理由は特に説明されてはいない。私は以前、国民金融公庫で「マル経」融資に長い間携わってきたので、この制度についてのある程度の知識はある。そこで、広瀬の論述を補足するかたちで、「マル経」が補助金の一つであることを説明したい。

1972(昭和47)年、総選挙で自民党は都市部で敗北を喫した。都市部での自民党離れを食い止めるための方策として、自民党商工部会が着目したのが、日本商工会議所から政府、自民党に要望が出ていた小規模企業向けの「一兆円経営改善基金」であった、と広瀬は言う。この基金はお蔵入りとなっていたのだが、選挙の敗北でこれを見直してみようということになったらしい。

この基金のユニークなところは二点ある。一つは、担保なし、保証人なしであるということ。