何も職場に限った話ではなく…

スキルを発揮する場所は、別に職場だけでなくても良いわけである。ご自身の所属するコミュニティや、ご家庭、趣味のグループ、ボランティア活動、マンションの管理組合の活動でも良い。会社では管理職だけど、家では召使いなんていうのは、家庭円満の秘訣かもしれないが、家でもバリバリと幸せな家庭を作るミッションにしっかりと向きあってほしい。

誤解がないように強調しておきたいことは、社会や組織だけに身も心も捧げるのではなく、ご自身やご家族の人生も大事にしてほしいということである。「家に帰ってきたときぐらい…」という言葉も時折耳にするが、私には安息の場所ではなく、チームとして次の挑戦について語らう場所であり、人生という大事な時間を共有する場所であり、日々の自分を振り返る場所でもあるわけなのだから。

私が、経営視点で管理職に望むことはただ1つ。会社組織は社会を良くするために存在させるわけであるから、仕事を通じて社会を良いものにしてほしい。これだけなのである。

近い将来、いままで人がやってきた仕事は、人工知能(AI)とか便利なITツールのようなテクノロジーが全部奪ってしまうのではないか?という話もあるが、まだまだ数十年先くらいのレベルでは、人間の持つ創造性や社会的知性を活かした仕事は機械に置き換わることはないと思う。

人間の集中力や判断が及ばなくなるような膨大なデータから何らかの関連性を見出したり、法則を見つけたりするのはテクノロジーにお願いした方が良いと思う。別にこれはヒトでもできるのであればヒトがやれば良いことであって、何でもかんでもテクノロジーにお願いしなきゃダメかと言えば、そんなことはない。お願いできるところとできないところを考えるのは、やはり人間にしかできないことだろうと思うし、お願いするかどうかを考えるのも人間。つまり、疑問を抱いたり、課題を特定したりするのは、ヒトの役目なのである。

だからこそ、真面目に包括的にスキルを習得することを提案したい。

まず、管理職の役割と磨いてほしいスキルセットを俯瞰するところから始めたいと思う。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『管理職魂』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。