それからしばらくしてじゃった。ねむるように胸もとで息を引き取った。おじいさんは目を赤くはらしながら、ミミの顔に頬をくっつけた。そして話しかけたそうな。

 

「わしより先に天国に行ってくれてありがとうよ」

そう言って、しずかになみだを流しながら強く抱きしめた。

「しばらくのあいだ、ばあさんの相手をしとってくれ。認知症はもうないじゃろうて。そこにはシマオもいるから、さびしくはないじゃろう。シマオはのう、わしの焼き魚をとったんで、頭をたたいてしもうたことがあるんじゃ。ゴメンと言うとって……」

おじいさんはもう、言葉がつまってしもうて、なみだが頬を伝ってミミの顔にしずかに落ちていったそうじゃ。

それから数か月がすぎたころじゃった。菜の花があぜ道にぽつんと黄色い顔を出すころ、おじいさんが亡くなったそうじゃ。

みーんな雲の上に引っ越してしもうた。今ごろは、ミミとおじいさんとおばあさん、それにシマオが楽しい会話をしているじゃろうて。

そうそう今日はな、孫娘がわしのところに猫を1匹連れてくる日なんじゃ。動物愛護管理センターからいい子を引き出してくると言うとったが、本当かのう。

ミミのような猫かもしれん。歯はあるかのう。しっぽはカギのように曲がっとるじゃろうか。片いっぽうの目はパンダになっとるかもしれん。今からワクワクしとる。会うのが楽しみじゃぁ。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『愛ラブ猫 I Love Neko』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。