もちろん悪いことばかりではないと思われますが、そのような遊びだけをしていては得られないものは多くあるのです。おんぶや取っ組み合いのケンカも減り、お互いの匂いやぬくもりも忘れてしまっています。他のお子さんたちと心と体でコミュニケーションして遊ぶことがほとんどない時代になってしまいました。

私たちは、今までこのような体験からコミュニケーションのとり方を学んでいました。そして、父親は、畳の上でよく背中にお子さんを乗せて、お馬さんごっこをしたものです。

バランスを崩すと落馬するので、落ちないように必死に父親のランニングシャツをつかんでいました。時には、ヒヒーンといって上体を反らし、わざと落とそうとすることもありました。今考えるとそれは、究極の感覚統合訓練だったのではないでしょうか。昔は幼い頃から自然と感覚を磨いていたのです。

Margaret M.Bass・Catherine A.Duchowny・MariaM.liabreが2009年に発表した論文によると、乗馬が感覚の感受性を豊かにし、不注意を改善し、座って集中して学習できるような社会的技能を高める手段として音楽とともになんらかの効果があるといいます。私のクリニックで、小学校低学年まではミュージック・ケアの中でお馬さんごっこも取り上げているのはこのためです。