この臨床研究には私も調整医師として参加し、有効性と安全性を確認しました。したがって、バイオシミラーは「ほとんど同じ成分、同じ効き目の安価な生物学的製剤」と言えます。

生物学的製剤は、関節リウマチ治療の切り札的存在で、2003年にレミケードが発売されて以来、次々と発売されて、関節リウマチの患者さんの治療に大いに役立ってきました。症状も改善するし、骨破壊の進行も抑える。ただし高価であることが最大の問題でした。

この度、発売されたバイオシミラーの薬価はレミケードの約67%になりましたので、薬剤費の負担はかなり減ります。薬剤の投与量にもよりますが、多くの場合、患者さんの自己負担額は減ります。当然のことながら、自己負担額以外は税金が使われる国民医療費が負担しているのですから、薬剤費が安くなれば、国民医療費の軽減につながります。

今回は、レミケードのバイオシミラーであるインフリキシマブBSが発売になりました。当センターでは、11月28日の発売当日から採用し、すぐに使える態勢を整えました。有効性も安全性も確認されていますので、一般的に投与に問題はないのですが、「やはり今までどおりが良い」と考える患者さんもおられると思います。

そこで、当センターでは、レミケードをお使いの患者さんと医師が相談して、今まで通りレミケードを使うか、インフリキシマブBS(バイオシミラー)を使うかを判断することにします。担当医師に是非ともご相談ください。

バイオシミラーは厳密には新薬ではありません。しかし新しい特徴を持った薬剤が次々と開発されていることは朗報です。

関節リウマチに対する治療法は20年前では想像もできなかったほど良くなっていますが、5年後、10年後にはもっと素晴らしい薬剤も出てくるでしょう。関節リウマチの完治も不可能ではないかもしれません。ご期待ください。

12月に入り、師走のあわただしい季節になりました。これから気温が下がり、空気が乾燥してきます。今年はインフルエンザの流行が早いとの情報も入っています。皆様におかれましては、より一層、体調管理にご配慮いただきますようお願いいたします。

※本記事は、2019年1月刊行の書籍『リウマチ歳時記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。