とうさんが
とうさんが亡くなって十年
かあさんはラジオが友達でした
ラジオはいいよ
寝ながら 世界中のことがわかる
ニュースもスポーツも歌も
落語の話を楽しそうにしていたのが
きのうのことのように思える
「落語はいいよ
ひとりで笑えるからねぇ」

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『もう一度かあさんの聲が聴きたい』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。
もう一度かあさんの聲が聴きたい【第7回】
いまだから、いまになってから、思い出すあの眼差し、あの温もり
いまだから、いまになってから、叶わないことだけど、ただ願う――
母という存在をなくして、心は声なき言葉を語りだす。
失ってから、ふたたび得る。ひとすじの救済への過程。
「かあさん、ありがとう」
第21回 日本自費出版文化賞「詩歌部門賞」受賞作品を連載でお届けします。
とうさんが亡くなって十年
かあさんはラジオが友達でした
ラジオはいいよ
寝ながら 世界中のことがわかる
ニュースもスポーツも歌も
落語の話を楽しそうにしていたのが
きのうのことのように思える
「落語はいいよ
ひとりで笑えるからねぇ」