現在ある日本の安価な着物は、中国製の絹をベースに、職人仕事をやめたコスト重視の、見た目が派手な印刷ものが主流です。戦後70余年の間に、大切なことが失われてきました。売れないことの理由を「高いから」と考えたからです。職人がいない理由を『後継者不足』にしています。

しかし、今なら間に合います。多くの人が着物を着ることで、日本は変わります。多くの人が着ることで、日本人が作る着物でも単価を下げることができます。自分たちの文化の産物を日本人が作るという当たり前のことができれば、職人が活躍できて、後継者も生活していけるでしょう。

文科省として『着物を着る授業』を教育に入れることが難しいなら、誰もが一人で着ることができる機関をつくればいいのです。

『着物』を商売としてファッションの一部としか思っていなかった私に、日本文化を大切にしなくてはならないと気付かせてくれたのはアメリカの地でした。そして、着物が売れない理由、後継者がいなくなった理由に気付いたのもアメリカでした。千年の歴史ある着物の先を見据え、着物は日本の財産なのだと世界中に知らせることが私の使命だと気付かせてくれたのは、アメリカという場所でした。

[写真]着物を着用した著者